ごあいさつ
「むすびタイ!」代表、指揮者の石﨑真弥奈です。
「人は、子どもの頃に出会ったもの次第で、人生が大きく変わりうるのではないか」と考えています。私が指揮者として、それを特に強く感じたのは、音楽鑑賞教室の指揮をする機会をいただくようになってからです。
その日の演奏は、子どもたちにとって、オーケストラの音を身近で聴くはじめての機会かもしれない。そこから興味を持つ子どももいるかもしれない。反対に、人生最後の機会になってしまう子どももいるかもしれない。
子どもたちの拍手、息遣い、目の輝きを感じるたびに、彼らの前で演奏することが、彼らの将来の音楽への接し方を、いかようにも変え得る事実、そして同時に責任を感じていました。
今回のコロナ禍をきっかけとして、多くの音楽の先生とつながる機会をいただき、今まで見過ごしてきた原点に立ち返る時間を持つことができました。そして、子どもたちへの影響、社会的責任を感じていたはずの自分自身が、あまりにも現実の音楽教育現場を知らないことに気付かされました。
先生方との会話の中で、「音楽科の先生は、各校に一人しかいないことが多く、横のつながりが少ない。また、子どもに専門外の分野を指導する機会も多い。」という声も聞いて、気軽に相談できる横のつながりがあれば、先生方の精神的な負担を緩和できるのではないかと思うようになりました。
各々が音楽を大切にしているのであれば、協力できることは多いのではないか。ならば、交流し協働しあえる場所を作りたい。
・・・こうした思いから、「むすびタイ!」の発足に至りました。
わたしが、先生方のお役に立てることは何か?
かねてより、先生方の中には、指揮に困っている方が多いと感じており、このような悩みを持つ先生方のお役に立てるのではないかと考えています。そして、わたしたち指揮者もまた、先生方から様々な学びを得たいのです。ともに成長できる仲間を見つけ、相談し、刺激しあい、安心して学べる環境をこのコミュニティで作っていきませんか?横のつながりが深まることで、相乗効果も生まれるとわたしは信じています。
この「むすびタイ!」には、わたし以外に、趣旨に賛同いただいた指揮者が3人います。指揮者にも、それぞれ大切にしていること、専門分野がありますので、そういった価値観に触れることも、大いに刺激になると思います。
指揮者側の視点に偏らないよう、信頼している先生方にも運営メンバーとして入っていただいています。まずは、先生と指揮者の関係を密にし、徐々に輪を広げていければと考えています。そして、クラシック音楽が子どもの興味や熱中の対象の1つになるよう、貢献できたら嬉しいです。
「むすびタイ!」の活動が、音楽を通して、社会をむすび、笑顔をむすび、より明るい未来への建設へと、つながっていきますように。
石﨑真弥奈