理念

理念

音楽科の先生と指揮者の交流・協働をもとに、児童・生徒へ音楽の魅力を授業や演奏を通して伝える活動をし、未来の音楽文化を育成することを目指します。

それぞれの現状

児童・生徒の現状

これまでの学校の状況 授業数の削減

これまでの学習指導要領の改訂により、週に2時間程度あった芸術教科は、週に1時間程度と大きく変化されてきました。

学習指導要領における音楽の授業時限数の変遷
(引用 国立教育制作研究所

音楽の授業数が減っていることは、児童・生徒にとって音楽文化とのふれあいが減っているということにつながると感じます。彼らが興味を持つためには、音楽との出会い、接する機会が必要です。音楽を鑑賞したり演奏したりした体験や学びによって、興味が持てると思います。
現に、内閣府の「文化に関する世論調査」(平成21年11月)によると文化芸術振興のために国に力を入れてほしい項目で「子どもたちの文化芸術体験の充実」が一番多い回答となっています。
児童・生徒が、音楽に限らずあらゆる文化芸術に触れることは、豊かな人間性を育てるために必要不可欠だと考えています。

コロナ禍での現状 制限がある中での実技授業

今回の感染症予防対策において、合唱、吹奏など、特に呼気を伴うものは制限が多く設けられました。
今まで当たり前に行われていた「みんなで息や声をあわせて、一つの音楽を作り上げる達成感や楽しさを感じる機会」が減ることは、感受性が豊かな思春期を生きる小中高生への影響ははかりしれません。

先生たちの現状

以前からの現状 自分の専門外の分野を指導する負担

ピアノ科を卒業して声楽の指導をする。管楽器科を卒業して合唱の伴奏をする等、学校現場では、学生時代の専門外の分野を指導したり演奏したりする機会が多くあります。
自治体の研修や講習会などもありますが、日々の業務に追われて、なかなか参加することが難しいのが現状です。
さらに、音楽科は各校に一人しかいないことが多く、実技や授業などの相談ができる横のつながりが多くはありません。

コロナ禍での現状 授業計画の変更

感染予防で多くの制限の中行われている授業では、年間指導計画を大幅に入れ替える必要性があります(例:歌唱や例年行われていた合唱コンクールなどが実施できないため)。そのことにより、非常に悩んでいる先生もいれば、普段だったら時間がなくてできなかった題材に取り組んでいる先生もいます。
いずれにしても、例年と異なる授業内容を準備しなければならないことは非常に労力を要するものです。
今年は、研修も中止になるところが多く、先生の研修機会が得られにくくなっています。

指揮者の現状

以前からの現状 教育現場の実状を知らない

クラシック音楽の演奏会の聴衆を見てみると、年齢層が高く、子どもたちや若者が多くありません。様々な音楽団体は若者へのアプローチをしていますが、なかなか裾野が広がらないのが現状です。

これまでも音楽鑑賞教室は実施されてきましたが、演奏会直後に児童・生徒の生の声を直接聞く機会をなかなか持つことができず、内容に満足していただけているのか、どのように改善していったら良いのか分からない状況でした。また、我々としては楽しんでいただけるプログラムを用意しているつもりであっても、実際に現場のニーズに合った内容なのか、話し合う機会を持つことができませんでした。

そして何より、現場の先生が授業の中でどのように児童・生徒に音楽を教えているのか、児童・生徒がどのようなことに興味を持っていて、どのように音楽を聴いているのか、もっと知りたいと思っています。

コロナ禍での現状 演奏活動の模索

音楽を伝える場所を、コンサートホールなど、直接聴いていただく場所に限定していることが多かったので、他の方法を模索することから始まりました。無観客ライブ、有料の音楽動画配信など、様々な方法を見つけ出し、様々な応援をいただきました。

6月以降、徐々に演奏会は開催されはじめました。4か月ぶりに、久しぶりに音楽を大勢で集まって、奏でることができ、とても喜びと楽しさを感じています。しかし、まだ編成や開催の制限があり、今までのように児童・生徒、先生、お客様に音楽をお届けすることが難しい状態です。

また、コロナ禍でどの音楽団体もかつてない経営難に直面しています。
経済的な損害について述べると、3月から5月では、全国で1761の公演が中止、937公演が延期になり、3カ月で68億円の損失となっています。未だ制限は続いていますので、損失は増えています。(引用 東洋経済 2020年7月1日

むすびタイ!が描きたい未来

先生、指揮者は、各々の現状を打破しようとそれぞれの場所で尽力しています。

各々の努力で解決ができないことがあれば、お互いが交流、協働できる場所があったら、良いのではないでしょうか。ひとりではなく、お互いの力があることで、悩みの解決のヒントになれば、相乗効果でアイディアが生まれると確信しています。

協力しあえる人数が多ければ多いほど、お互いに刺激や視野が広がります。

先生と指揮者は、異業種に見えるかもしれませんが、音楽を大切にしている同志なので、安心、安全に建設的な意見の交流ができるでしょう。このコミュニティでは、周りの先生や指揮者との交流で、日頃の悩みをシェアし、不安や孤独を解消することができると考えています。指揮者、先生、双方の現場での助言や裏話を聞いたり、先生同士の交流したりすることにより、お互いに連携がとれ、アイディアが広がります。

それによって児童生徒が、生涯にわたって音楽を楽しむ可能性を広げタイ!

さいごに

音楽を通して、相手に何かを伝える仕事をしているわれわれは、児童・生徒に何を伝えたいのでしょうか?

音楽の知識、楽しさだけを伝えたいわけではないはずです。

音楽を通して、多様な音楽文化についての価値、歴史、批評、社会での存在意義、また、感性や表現、コミュニケーションなど、人生にとって重要なことを伝えていると感じています。

様々な視点を持ち、互いに協働し、児童・生徒にアプローチすることができたら、より音楽やほかの文化にも興味がわくと信じています。

「むすびタイ!」の活動が、
社会をむすび、笑顔をむすび、
より明るい未来への建設へと、
つながっていきますように。